「輸入部品調達部長探訪記13 ミウラエンジン2」

BB部長、今週も突然の告白から始まる探訪記。今週は、ミウラのエンジンの深い話です。ミリ単位以下の仕事が続く話ですが、ミリ単位以下の設定を要求したエンジンも当時としては高性能エンジンです。エンジンのオーバーホールの深い話も興味が尽きません。

Text/Photo: BB部長

突然ですが、本当のことを打ち明けます! 

私BBですが、輸入部品調達の命を受け部品の達人を目指し部長の名を受けてますが、部品商が本職ではありません。実は本職は、35年以上にわたってのメカニックです(^^♪

輸入部品調達は前回紹介した30年ほど前に、趣味の延長で始めた個人輸入が始まりになります。部品商に勤めた経験などなく、ましてや商社なんて近づいたこともなく今に至りますので、ここ日本では「どうせ個人並行輸入者でしょ⁉」と言われることもありシロートで本職とは言えないようです。なぜか海外で言われたことは無いですけど(^^♪

今回はメカニックとしての仕事で、以前に紹介した、ランボールギーニ ミウラのエンジンの作業とその部品調達を書きます。以下はメカニカルオタクの話になりますので興味のある方しか面白くないです。工芸品のミウラのエンジンを触れるのはメカニックとしては至高な体験で喜びですが、それ以上に技の見せどころでもあります。

今回紹介するのは、このエンジンの構造上、オーバーホール時にしかできない重要な作業の一つで、バルブクリアランスの調整作業です。バルブクリアランスとは、カムシャフトとバルブとの隙間で、エンジンの種類によりメーカー指定の基準値があり、機械構造上必要な隙間で0.10mm~0.30mm辺りです。

今は、ほとんどのエンジンが油圧自動調整式になり隙間を0に出来る調節不要になっていますが、クラッシクカーでは一般的に機械式で調節が必要になります。ましてやミウラなどの高性能エンジンでは繊細さがより重要になります。空冷ポルシェエンジンの大きくなったガチャガチャ音はこの隙間が大きくなったことによることが多いです。

ミウラエンジンのDOHCヘッドでは、一番シンプルな構造でバルブの上に組み込まれている小さなシムの厚さを変えて隙間を調節するタイプです。シンプルな構造の為に一番手間がかかり、あとから再調整が出来ないためにより繊細さが重要になります。ミウラの場合の基準値はイン、アウトともに冷間時0.25mmになっており、それを目指して調節することに成ります。

今回はバルブとバルブシートを交換した為に、この隙間を一から測定し調節する必要がありシムも多くの種類を取り寄せる必要になります。やはりミウラ用のシムは現在手に入りません。適合するサイズのシムを違う車種用の物から探さないといけません。

勿論、車種づつのシムのサイズのデータ等ありませんので、いつもの世界中にアンテナを広げて情報収集で何とか古いアルファロメオのエンジン用シムがサイズが近いと知り探しますが、古いアルファロメオ用の物も簡単には見つかりませんし、また今回は多くの種類の厚みの物が必要で、単品でなく多くの厚みが入ったセット物を探します。ようやくドイツにあるアルファロメオ専門のチューニングショップがセット品を持っており、そこから入手することが出来ました。

まずは、既存のシムにてカムを仮組して隙間を測定し、カムを外し、それに対して適切なシムをキットから選んで組付けて、また測定します。近い数値になりますが、一度でぴったりとはいきません。これを繰り返し目標値0.25mmに近づけていきます。

キットに入ってる分だけでは合わせられない場合は、少し分厚いものを手作業にて薄く削って合わせていきます。

しかし、100分の1mmの世界に入ると±0.01の誤差は感覚の世界になります。ここからは経験と技で理想に近づけます。

隙間はシックネスゲージで図りますが、最終的に0.25mmを差し込んでゲージをスライドした時の手に伝わる重さで0.01mmを感じ取るしかありません。引っ張った時に軽いものは0.25+、重いものは0.25-、として隙間が狭めが良いイン側は0.25-に合わせて、広めが良いアウト側は0.25+になる様に何度も繰り返します。

カム4本分、バルブ24個に対して何度も繰り返し行います。実際は0.05mm狂ったとしても大きくエンジンの調子が悪くはなりませんが、基本に戻すのが目的なので自分自身が納得するまで正確性を目指すのがメカニックとしての仕事です。時間はかかりましたが納得できる仕上がりになました(^^♪

エンジンオーバーホールにてエンジンを新車時に近づけることが出来ます。当社では多くの経験を持ったメカニック達によりクラシックから最新エンジンまで対応しております。

お気軽に御相談ください(^^♪