「輸入部品調達部長探訪記9 熟練の技1」

BB部長、今回は熟練について再考します。するんですけど、なぜか場所がちょっと変わったところのようで……。

Text/Photo: BB部長

今回は2回に分けて、熟練の技について2人の匠の紹介をします。

まずは自動車とは関係ない話ですいませんが、ハンバーガーの話です。一人で海外出張によく行く私ですが、食いしん坊の為に困るのは食事です。特に昼食は、車で移動中の隙間時間に一人で早くそして満足できるのが理想ですが、これが難しいのが海外です。日本では、どこでも豊富に選択肢があり、コンビニの弁当でさえ充実しています。

これが海外となるとそうはいきません。特に欧州では外食となるとレストランなどが多く一人で入り辛いところばかりです。そうなるとファストフードとなりますが、ドイツなどでは、街中では少しはありますが郊外ではほとんどありません。サービスエリアやガソリンスタンドで千円以上もする何時に作ったか分からないホットドックやサンドウィッチを買って炭酸水で流し込むように食べるしかないようなことが多く、徐々に期待することもなくなり探すことも諦めてしまいます。

その点、アメリカは外食が充実していて、一人で入れる所も多く、ファストフードが本場の国でどこに行っても充実しています。とは言え私の場合、アメリカではハンバーガーが、ほぼ主食になってしまいましたが(^^♪

最近お気に入りのレッドロビンと言うハンバーガーショップで、アメリカでは珍しい月見バーガーがあります。

本題に入ります。3年ほど前の話です。以前に日本のTVで紹介され機会があれば寄りたかったハンバーガー店に行けました。出張中のロスで、知人に教えてもらったロス北部の中小企業が集まる工業地域にある内装レストア工房へ訪問する前に、同じ地域にありランチタイムで寄りました。

なんと93歳になるビルじいさんが60年以上変わらずに現役でやってるビルズバーガーズと言う屋台ほどの小さな店です。地元の人たちや噂を聞きつけた遠方の客達が、ランチに多く集まるハンバーガーショップで、店の中を覗くように外側に6人しか座れない椅子が添えられていて客が食べ終わるのを周りで順番待ちをします。

平日4日間だけのランチタイムにしか空いていなく、値段も普通のチェーン店と同じく安価なので、客が集まりよく流行っています。

店内でビルじいさんが、孫だろう青年店員が客から取った注文書を確認しながら大きな鉄板の前に立ち手際よくパテを焼いていきます。60年以上メニューも変わらず同じ作り方を貫いているらしく、2坪ほどの調理場の真ん中に立ち黙々と作っていきます。

順番が来た私は、空いた6人掛けの奥の隅に座り定番のチーズハンバーガーとコーラを注文します。ここは何故か定番のポテトフライがありません。

ハンバーガーだけで勝負してるのか、ただ単にフライヤーを置く場所が無いだけなのか⁉

目の前1メートルほどに立つビルじいさんが、一歩も動ずに手が届く範囲から取り出したパテを鉄板に置き3分ほどで手早く作っていきます。全く無駄な動作がありません。ほどなく店内から窓越しに出されたハンバーガーを口にすると、塩と胡椒だけで味付けされた素朴な味付けなので肉本来のうまさが口いっぱいに広がります。値段的に特別高い肉は使ってないはずですが、それ以上に美味しい肉の味と香ばしさに驚きます。

私はアメリカに行くと毎日のように色んなハンバーガーを食べますが、本場なのでどこで食べても大体美味しいです。もちろん某M以外はです。まあ、アメリカ人の友人に言わせれば某Mはハンバーガーでなく、Mと言う別の食べ物だそうです。

人気が出てきた新興チェーン店や地元で人気の個人店、また最近噂のそれなりに美味しけどバカ高いグルメバーガーなども食べましたが、ここのハンバーガーを食べると、本来の本物はこれだったのかと初めて教えられた様でした。

じっくり味わって食べていると、黙々と鉄板に向かってたビルじいさんが私の方を向き、しゃがれた声で「美味いか?」と一言、聞いてきます。「無茶苦茶、美味い♪」と親指を立てながら答えると、にやりとし無言で鉄板に向き直してパテをひっくり返します。私のことが、口コミを聞きつけて遠方から来た客の一人で、よっぽど美味そうに食べてるように見えたのでしょう(^^♪

その時に頭に浮かんだのは、なぜか「熟練の技」です。

ただ同じものを作ってるだけでは? と思われるかもしれませんが、60年以上同じハンバーガーだけで常に人気店であり続けてるとは、星の数ほど店がある本場で、時代ごとに変わる流行の志向に流されず、前よりも美味しい物を作ろうと考えながら毎日同じものを10年20年と作り続けて熟練の技になったのだと、ビルじいさんの全く無駄のない動きでパテを焼く仕草をみて確信し頭に浮かんだのでしょう。同じ材料、同じ味付けながら60年前から徐々により美味しくなってきたので、いまも人気が続いてる、物作りとは本来このようなことなのでしょう。

車を作るのにも共通すると思います。究極のレストアが求めるところは新車販売時と同じ状態に戻すことです。現在のオートメーション化しマニュアル通りの車製造と違い、その当時のクラッシクカー製作では熟練工たちの技一つ一つの集約により完成されていました。その当時の熟練工たちの技を理解し再現して当時の状態に戻すのがレストアなので、熟練の技はレストアでは必要不可欠です。

ビルじいさんと同じく、前回よりも良い物を作ると思いながら毎日の積み重ねにより身につく高いレベルでの感覚的なものが備わった高い技術を得て熟練工に成れると、私は思っています。

短い時間ながら、十分に満足したランチを終えた後、本来の目的である内装工房に向かいます。そこで、その日2人目の熟練の技に出会うことができました。次回に紹介します。

続く(^^♪

アメリカにて美味いハンバーガーの要望は当社まで、否!ハンバーガー部BB部長までご相談ください♪