「輸入部品調達部長探訪記 5 ミウラエンジン」

生産台数が少なく、そして「名車」と呼ばれるモデル。製造してから半世紀が過ぎようとするモデルは、やっぱり部品の調達に苦労が付きもの。BB部長の汗と涙の部品調達記。今回は、やはりイタリアのものはイタリアで、のようですが……。

Text/Photo: BB部長

コロナ禍の状況でも注文が次から次に入ってきます。海外に飛んで行って決めたいことや、新規開拓もメールに頼るしかない状態が続いていますが、直接会えば一回で済むことも、メールでは何度も繰り返して関係を構築する必要があり、まさに百聞は一見に如かずを、努力でカバーするしかない状況です。

今回は、ランボールギーニ・ミウラのエンジンオーバーホールの為のハードルが高い部品探訪です。

工芸品と言っても良いミウラエンジンとなると、ネジ一本まで気を使って探さないと行けません。また、走行するのに触接関わる最重要機関です。中身はやはりオリジナルでなく現代の技術でできたグレードアップした部品を使うことになります。もちろん外見はあくまでオリジナルを崩さないのが鉄則です。

ベアリング等の消耗品は勿論、今回はバルブとピストンも新調することに成りました。バルブは鍛造ステンレス製が苦労せずに米国の仕入れ先に在庫があり手に入りました。

めったに売れない在庫が売れてホットしてるでしょう ♪

次はピストンですが、オリジナルの新品12個は手に入りません。また鍛造アルミ製へのグレードアップが一番良いと判断して探します。

やはりミウラ用となると、1年に1セットも需要が無いようなピストンに既製品でカタログに載ってるところはありません。カスタムピストン製作専門工場でのワンオフ製作となります。

ミウラエンジンのオーバーホールとなると経験者も少なく情報も簡単に得られませんが、そこは腕の見せどころ、前回登場のミスター・ボビレフや他に聞きまわると、米国と英国の有名カスタムピストン屋の名前が上がります。

米国の方は私も知ってる有名メーカで、早速メールにて問い合わせすると、データ(製図)か現物が必要のこと。製造経験が、あるはずなのに前のデータではワンオフは作らないとの返事。

通常なら持参していって交渉のところ行けない状況で苦慮し、また大事な遺産となる現物を送るのはしたくない。英国の方も同じ返事で、製図してもらうか他を探すかで悩んでる処に、いい情報が入り、イタリアの小さいながらレース用カスタムピストン製造製作所を見つけました。

イタリア製で大丈夫と思われる方がいるかもしれません。私見ですが、イタリア、イギリス、ドイツには日本と同じように、高齢化が進んでいますが、まだまだ町工場に優れた職人が残っています。

調べると欧州中心にレースエンジン等に供給して活躍しており、レストア用クラッシクカーのピストンも実績があるとのこと。

早速、問い合わせるとすぐに簡単な返事が返ってきましたが、イタリア語で読めない!グーグル翻訳コンニャクを使ってみると、どうやら英語が使える事務員が休暇の為に、また英語で返事してくれるとのこと。欧州ではイタリア、フランス、ドイツの地方では、英語がダメなことがあるある事で、使える事務員がいるだけマシである。フランスの場合は、喋れるくせにワザと出来ないふりをする人も多いけど!

2日程経って、女性の名で丁寧な英語の返事をくれて交渉開始です。何度ものやり取りの結果、経験もあり好評をもらってるとのこと、またオリジナル仕様で同じ形状ならデータが揃っており、前回に製作したピストンの画像も送ってくれて出来の良さも確認できた。

製作に3週間かかるが直ぐに製作始めれるとのこと。条件は、欧州以外に海外発送したことがないので、先支払いイタリアローカル銀行振り込み着金確認後の製作開始と、少し時間がかかり面倒だが発注することに決定。

決定に対して、メール相手が若く綺麗なイタリア女性事務員と勝手に妄想していた私に、私情は決して入ってません♪ 早速に、銀行海外振込しレシートのコピーをメールすると、もうすぐに夏休みに入り3週間後からの製作になると返事が来る!

それ先に言ってよ! 

と思うが夏の季節の欧州では、よくあることを忘れていた私のミスである。仕方なく待つことに。

特にイタリア人は長く休むし、ノンビリ体質で、言い訳が得意である、そう言えばドイツ人の友人が、イタリアに支店を作ってイタリア人の適当さに我慢できずに2年で撤退したと言ってたのを思い出す、高価な部品にて悩みが募るばかりの時間を過ごす。

じっくりイタリア人の休暇を待って、メールをするとなんと2,3日中には発送するとのこと。

なんと、あのイタリア人が休みの間に職人が作っていてくれた様である。あのイタリア人がである!

日本の中小企業オヤジのような職人がここには存在したようで、これは運が良い!良いものが届く予感で到着を待つ。

1週間経たずに到着したピストンを点検すると見た目に良い造りである。

オリジナル形状で、特に複雑なピストントップの山形形状も正確、肉厚も十分で、リングとフルフロート化したピン付き、おまけにオプション設定のスカート部へのモリブデン照射コートもサービスで施されており、イタリア人の職人気質を再発見しました。

直ぐに、いつもはあまりしない感謝のメールをイタリア美人、いや事務員にしたのに決して私情はありません♪

来年、イタリアに探訪の時には工場訪問にいくのが楽しみです。何度も言いますが、

決して下心はありません。♪

オリジナルだけでなくカスタムやワンオフ製作、3Dプリンター製作などのパーツで、お困りの時は当社にご相談ください。